Samsung SSD 導入事例 【さくらインターネット株式会社様】


Samsung SSDの採用でストレージ性能が大きく向上した「さくらのVPS」SSDプラン
  • Samsung SSD 830が搭載されたサーバの写真

2012年12月5日、さくらインターネット株式会社は、同社が提供する仮想専用サーバサービス「さくらのVPS」において、従来プラン比7倍のストレージ性能を実現するSSDを搭載した新プラン「さくらのVPS SSD 1G」および「さくらのVPS SSD 2G」を発表した。VPSサービスにSSDを導入するにあたって、さくらインターネットでは各社のSSDの検証を行ったが、その結果選ばれたのがサムスンの「Samsung SSD 830」である。そこで、同社の開発責任者である加藤直人氏に、VPSサービスへのSSD導入経緯や数あるSSDの中からSamsung SSD 830を選んだ理由、SSD導入の効果などをお訊きした。

日本のインターネットビジネスを支えるさくらインターネット

  • 2011年11月に開設された国内最大級の郊外型データセンターである「石狩データセンター」の外観

  • データセンターのサーバルーム内部の様子。100ラックごとのモジュール設計になっており、最大4,000ラックまで増設することができる

さくらインターネット株式会社は、国内有数の規模と歴史を誇るインターネットデータセンター事業者であり、日本のインターネットの発展に貢献してきた。さくらインターネットは、東京・大阪・北海道に5つのデータセンターを所有し、対外接続の合計回線容量は、国内トップクラスの245Gbpsを誇る。同社のサービスポリシーは「どこよりも低価格で、どこよりも高品質なサービスを実現する」というもので、月額125円のレンタルサーバから、月額数十万円のハウジングサービスまで、幅広いサービスラインナップを取りそろえていることが強みだ。さくらインターネットのインターネットサービスは、コストパフォーマンスと信頼性の高さで人気を集め、顧客も個人から大企業まで幅広い。同社の顧客数は、2012年3月現在で個人が約16万5,000人、法人が約9万9,000社に達しており、名実ともに日本のインターネットビジネスを支える存在となっている。

ストレージ性能がボトルネックになってきたVPSサービス

  • さくらインターネット株式会社
    開発部開発第一チームマネージャーの加藤直人氏

さくらインターネットが提供するさまざまなインターネットサービスの中でも、特に人気の高いサービスが「さくらのVPS」と呼ばれるVPSサービスである。VPSサービスとは、仮想専用サーバ(Virtual Private Server)の略で、共用サーバながら仮想的に専用サーバと同等の機能を提供するサービスである。専用サーバの自由度と共用サーバならではの低価格を両立させていることが魅力だ。さくらのVPSは、Linuxカーネルに標準搭載の仮想化技術「KVM」による完全仮想化を実現しており、圧倒的なコストパフォーマンスで、個人エンジニアから企業まで幅広いユーザー層から高い支持を受けている。

さくらインターネット開発部開発第一チームのマネージャーを務める加藤氏は、さくらのVPSサービスについて、次のように語る。「さくらのVPSは、2010年の9月に正式サービスを開始しました。当時、KVMを使った完全仮想化サービスは珍しく、コストパフォーマンスの高いサービスとして、ユーザーも順調に増えております。2012年11月には、利用件数は40,000件を突破し、日本屈指の仮想ホスト数を有していると自負しております」。

高速なマルチコアCPUと大容量メモリなど、近年のサーバハードウェアの高スペック化の恩恵を受け、VPSのパフォーマンスは大きく向上してきた。一般的な用途では、仮想サーバであることを意識する必要がないレベルに達したといってよい。しかしその一方、CPUやメモリに比べて、ストレージとして使われているHDDは容量こそ増加したものの、性能はあまり向上しておらず、データベースなど特定用途においては、ストレージの性能がシステムのボトルネックとなる傾向がはっきり現れてきたという。「ストレージへのアクセスが集中する使い方をされているお客様から、もっとストレージ性能を上げてほしいという要望が出てくるようになりました。もちろん、RAIDの利用などで高速化を図っているのですが、HDDではやはり限界があります」(加藤氏)。

数社のSSDを検証した結果、サムスン製SSDのみがテストをクリア

顧客からのストレージ性能を上げて欲しいという要望に応えるために、加藤氏らが選択したのが、SSDの導入だ。SSDは、HDDと異なり、ヘッドを動かしてシークを行う必要がないため、ランダムアクセスが非常に高速なことが利点だ。さくらインターネットでは、業界に先駆け、2012年11月からクラウドサービス「さくらのクラウド」において、ストレージにSSDを利用するプランを追加しており、さくらのVPSでのSSD導入はそれに続くものとなる。
VPSサービスにSSDを導入するにあたっては、数社のSSDを実際にさくらインターネットが利用しているサーバに搭載し、高い負荷をかけたり、温度条件を変えるといった厳しいテストを行った。その結果、他社製SSDではホストに不具合が生じることがあったが、サムスンのSamsung SSD 830は、そういった問題は一切生じなかったという。また、コストパフォーマンスが高いことも、サムスン製SSDに決定した理由の一つだ。「他社のSSDでは書き込みを集中させると不安定になるなどの問題があり、難航していましたが、サムスンのSSDに切り替えたら、一切不具合が出なくなりました。それから、容量単価ですね。他社製品よりコストパフォーマンスが高く、もちろん性能も高いということで、第一候補として挙げさせていただき、サムスン製SSDの導入を決定しました」(加藤氏)。

S.M.A.R.T.情報を監視して予防的に交換をしていく

SSDは、HDDに比べて遙かにストレージ性能が高く、消費電力も低いことが利点だが、その反面、書き換え回数には制限がある。PCでの一般的な利用なら、まず書き換え回数の上限に達することはないが、サーバに搭載する場合は、書き換え回数の上限を意識した運用が必要になる。そこで、さくらインターネットでは、SSDのS.M.A.R.T.情報を監視し、書き換え回数がある閾値に達したら、SSDを新しいものに交換していくことで、永続的な書き換えを実現している。SSDの場合、HDDのように突然壊れるというリスクがほとんどなく、個体ごとの寿命が見えやすいため、マージンをとって交換していくことができ、むしろ安全性は高い。「HDDですと、突然S.M.A.R.T.情報の数値が上がったり、予兆がないのに壊れたりとか、そういう事象が非常に多いのですが、SSDならそうしたことがないのは、運用上の大きなメリットです」(加藤氏)。

SSD化によって従来比最大24倍にパフォーマンスが向上

さくらのVPSは、これまで仮想サーバのメモリやコア数、ディスク容量といったハードウェアスペックの違いにより、4つのプランが提供されていたが、今回新たにSSDをストレージとして利用する2つのプラン「さくらのVPS SSD 1G」および「さくらのVPS SSD 2G」が追加された。「より多くのお客様にSSDプランを使っていただけるよう、まずは低価格帯のプランから提供させていただきます。当然、SSDプランが好調であれば、より上位のプランでの展開も考えております」(加藤氏)。

「さくらのVPS SSD 1G」は、メモリ1GB、ストレージ(SSD)50GB、CPU仮想2コアというスペックで、月額料金は1,780円、「さくらのVPS SSD 2GB」は、メモリ2GB、ストレージ(SSD)100GB、CPU仮想3コアというスペックで、月額料金は3,680円となる。「さくらのVPS SSD 1G」と従来のHDDを利用する「さくらのVPS 1G」のパフォーマンスを比較すると、ランダムリードおよびランダムライト時のIOPS(1秒間に読み込み・書き込みを行える回数)は、SSDプランが10,000なのに対し、HDDプランは1,500であり、SSDのほうが約7倍も高速だ。同様に、レイテンシ(データ転送の要求からデータが送られるまでの待ち時間)は、ランダムリード時はSSDプランが0.26msなのに対し、HDDプランが6.24msもかかっており、その差は実に24倍高速になる。ランダムライト時のレイテンシは、HDDでもライトキャッシュが有効になるため、そこまでの差は出ないが、それでもSSDプランが0.12ms、HDDプランが0.241msであり、SSDのほうが約2倍高速である。
このように、VPSサービスにSSDを導入したことによる効果は絶大だといえる。ちなみに、HDDを採用した「さくらのVPS 1G」は、メモリ1GB、ストレージ(HDD)100GB、CPU仮想2コアというスペックで、月額料金は980円と安いが、ストレージ性能が最大24倍も向上することを考えれば、「さくらのVPS 1G SSD」の月額1,780円という価格は、非常に魅力的である。
加藤氏をはじめとする、さくらインターネットの開発チームは、今回提供を開始したSSDプランについて、大きな自信を持っているという。「VPSサービスでのSSDプランは、おそらく国内初だと思います。皆さんが期待されていると思いますが、その期待に負けないサービスとして自信を持って打ち出せるものになりました」(加藤氏)。

さくらのVPSのSSDプランは、サムスン製SSDの採用により、これまでのVPSサービスでは不可能であった新次元のストレージ性能を実現したサービスであり、信頼性についても従来以上のレベルを達成している。ストレージへのアクセスが多いデータベース系アプリケーションなどの開発を行うには、まさに最適な環境といえるだろう。

取材日:2012年11月19日
取材協力:さくらインターネット株式会社
ライター:石井 英男

「さくらのVPS」新プラン「SSDプラン」提供開始のお知らせ(2012年12月5日)


会社設立
1999年8月17日(サービス開始 1996年12月23日)
本  社
大阪市中央区南本町1丁目8番14号
従業員数
180名(2012年9月末現在)
事業内容
インターネットへの接続サービスの提供
インターネットでのサーバの設置およびその管理業務
インターネットを利用した各種情報提供サービス業務
URL
http://www.sakura.ad.jp
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